何です!みなさん。黙って聞いていれば、人をクズ屋さんのように言ってからに、(当たらずとも遠からじとは自分でも薄々感じてなくもないですけどね)
壊れ物が好きというのはつまりですね。
壊れているモノの傷口がたまらんとか、この汚れに痺れるとかそーゆーフェティッシュな類いの趣味ではなくてですね。
完動機の価格>ジャンクの価格
ってだけなんですよ。お金ないから。
それに、別に壊れたものを並べて楽しんでいるわけじゃないんですよ。ちゃんと直して整備するんですよぉ。動くものを動けるようにですねぇぇ、こらー、そこー聞いてるかぁ?
と、いうことで。
たまには修理のお話をば。
幸い今日は祝日で、ちょうど予定もなかったので、先日頼んでいた映写機のベルトが到着したのもあって、ほぼ半日を費やす予定で、
” ELMO SC-18″
を復活させてみたいと思います。
先日の動作確認時にわかっていることは以下の通り。
1)電気通電確認
- 映写ランプ:正常
- エキサイタランプ:正常
- モーター(正転/逆転、18/24):回転は正常
※ただし、駆動系への動力伝達は不動 - 音声ヘッド:光学/磁気ともに未確認
- スピーカー:電源投入時に発音あり
- ヒューズ:スペア2本ともに正常
2)破損/欠落の確認
- ボディ(外側):煤汚れおよびホコリ多し
※おそらくタバコによるヤニの付着 - ボディ(内側):機械油の揮発などによる油分の固着数カ所
溶解したゴム片などが内部に散乱、モルト破損 - 駆動系(ハード):グリースの変色は多少あるが、変形や破損は見られない
- 駆動系(ベルト)
メインベルト:欠落
巻き取りベルト:溶解し切断の上、プーリーに付着(最悪)
アームベルト:未確認 - スイッチ類:正常
3)光学部品の確認
- 映写レンズ:多少のホコリ油汚れアリ
- 反射ミラー:剥離なし、多少のホコリ油汚れアリ
- ビルトインスクリーン:ちょっと汚れてるかな?
とまぁこんなところ。
それをふまえて対応手順をまとめると以下になるんですね。
所見:まぁ動くしランプも付く。駆動系のベルト付け替えれば大体動くんじゃねーのか?音はわかんねけど。
で、行動。
1)清掃
全体的に簡易清掃の必要はあり、破損して散乱したゴム片の回収およびプーリーに固着したゴム片の除去
ものすごく汚い感じに解け解けになったゴム片やぼろぼろになっているモルトを除去します。ぶっちぎれてボディーの下に落っこちたメインベルトはまぁいいとして、特にプーリーに巻き付いたままゲル状になってしまった巻き取りベルトが汚い感じにネバネバで、指でつまむと
「江戸紫」
みたいです。中途半端な粘り気と全く形を保とうとしないだらしない感じがもう、許せません。アルコール系の剥離剤にて天誅をお見舞いします。しかし20年近くくっついていたものですからなかなか剥がれてくれません。結局気づけば小一時間もプーリーを磨くはめに。
カバーを外した状態でまんべんなくブロアーを吹いて、細かなクズやホコリを飛ばします。前カバーとビルトインスクリーンの隙間を塞いでいたモルト(黒いス ポンジによる隙間塞ぎ)が酸化してもうぼろぼろですので、これを新しいものに交換です。ボロボロのモルトをこそぎ落とすのに一苦労、ビルトインスクリーン をカバーごと外す羽目になる。
マイナスドライバーの刃先でゴリゴリ30分。そのあとをメラニンスポンジでゴシゴシやって接着剤を除きます。
東洋インキ謹製のシール付きの巻きモルトを必要な大きさにカットして貼付けて完了。
映写レンズを外して、ホコリ取り、表面をレンズクリーナにてふきふき。アパーチャ/プレッシャープレートにくっついたホコリをブロアーでプーしてアルコール漬け綿棒と爪楊枝でホジホジ。
各部のグリースに付いたホコリをコシコシとって、潤滑油を注し直し。
ついでにボディーもメラニンスポンジと雑巾でキュキュッとふきふき。
これで見た目はかなりいい感じに、
男前映写機。
2)部品交換
<アームベルトの交換>
前部のアームベルトを確かめるためにアームのカバーを外そうとすると、フィルム挿入口が邪魔だったりするので、前カバーを外して「フィルム挿入口」をスレッディング部から外す(つまらん手間がかかるな)
開けた甲斐空しく、ベルト健在。多少のテンションを掛けても全然動じないほど健在だったが新しいの買っちゃった手前悔しいので交換。ブーブー一人で愚痴りながら、アームを元に戻す。
<巻き取りベルトの交換>
先ほど解けたベルトのゴムを清掃するために外したプーリーに新しいベルトを引っ掛けて、装着。思ったより力がかかり思わず、内部のパーツの角で指を切る。痛いよ。
ここまでは順調。かなり気分良し。
<メインベルトの交換>
中央の弾み車のストッパーのピンを抜くも、弾み車が外れない。
これとらないとメインベルトを掛けるメインシャフトにアクセスできない。かなり必死にでも優しくひっぱる。抜けない。 しばらく映写機に言い聞かせ説得する(←段々分けわかんなくなってくる)
こちらの問いかけに応じない映写機に見切りをつけ反対側(前部)からのアクセスを試みようとするも外すべきパーツの多さに断念。
しばし考える。
モーターと排気用のファンを結んでいるメインシャフトは1本の棒ではなく、多少自由にズラすことのできるジョイント部をもっているらしいので、モーターかファンのどちらかを外して、そこにベルトを通せばなんとかなるかも。と思いつく。
電気系のないファンの方を外すことに、まずは電源部を外して、手探りで奥の方のネジを外してみると結構あっさり、ファンが取れたので、すかさずメインベルトを通すと、メインシャフトが滑落。
半べそ状態で、弾み車の隙間に指突っ込んで、もごもごとメインシャフトを取り付け、ここでこのシャフトにはスプリングがついていて結構容易に外せることに気付く。
かなりくやしい。
涙と鼻水と機械油まみれになりながら組み立て
3)試運転
正転/逆転ともに全て順調に動作。フィルム送り、ランプファン、排気ファン、巻き取り前後アーム全て動くようになる。
うれしい瞬間
このままだと、油断して感電死しかねないのでカバーを全て装着する。
完成!
と思ったら、ワッシャーが1つ余ってる…。?
分解前のデジカメ画像を確認すると弾み車についていた部品と判明。またカバーを外す。
今度こそ完成!
試験用のフィルム(ガッチャマン「ギャラクター島の決闘:後編」)を入れて映写テスト。
…。
音が出ない。
あああああああああ、
カバー締める前にスピーカープラグを接続し忘れたことに今更気がつく、
再三カバーを外す。
ああ、やっと完成!
うれし涙にはビルトインスクリーンに映る黄ばんだ「科学忍者隊」の面々。 記念にデジカメでその勇姿を撮影した。
あとでパソコンで見たら、そこに写っていたのは「科学忍者隊」ではなく、その親玉の
「南武博士」
でしたとさ。
ふと見上げると辺りはとっぷり日も暮れておりました。
(2004/11/3)